新型コロナウィルスのイタリア感染状況<2022年6月>

今日で6月も終わり...明日から一年の折り返しとなります。日本では早くも梅雨が明けて、連日のように猛暑にまつわる記録更新の話題で持ちきりのようですが、ここイタリアはじめヨーロッパもアフリカからの熱波が続いていて、暑い暑い6月でした💦そして早くも水不足や旱魃、ひいては農作物が不作で価格に影響するという話がニュースで伝えられています。

この世界的な地球温暖化による異常気象も気になるところですが、ロシアによるウクライナ侵攻が予想以上に長引いていることもあり、その影響を受けての物価の高騰や電力供給不足、そこへこの猛暑でダブルショックという不安要素の多い夏となっています。

そんな中、だいぶ慢性化してしまって話題にされることが少なくなってしまった”新型コロナウィルス”について、イタリアの最近の状況をレポートしつつ、今後の渡航関連情報もアップデートしたいと思います。

ミラノ・サローネの様子

前回のお知らせでも触れたように、ミラノではデザインウィークが6月の2週目(6~12日)に開催され、私自身もミラノ・サローネの展示会場の一角で通訳として務めていました。そんな現場で目の当たりにしたのは、このイベントのために世界中からミラノを訪れていた参加者や関係者のほとんどの方が、ほぼ誰もマスクをしていないという現実でした。

イタリアで定められた規制では、6月15日まで(つまりサローネ期間中もカバー)は、公共の交通機関でのマスク着用義務が設けられていたので、例えば展示会場へ向かう地下鉄の中では皆マスクを着けていたのですが、いざ会場に到着してみると”ノーマスク”となり、飲食店のスタッフや日本の関係者の方たちを除いては、マスク無しがスタンダードになっていました。

ミラノ・サローネ会場内のあるブースの模様(マスクをしている人はまったく見かけない)

私は期間中ずっとロー・フィエラの会場にいたので、ミラノ市内で行われていた”フオリ・サローネ”の様子は見ることができなかったのですが、期間中に市内を周った方たちから聞いた話では、人気のあるブランドの会場入口には、連日のように長蛇の列ができていたり、どこへ行ってもかなりの人出だったようです。その様子を例えると、「ミラノの街がコロナ前に戻ったように活気づいていた」といった感じだったようです。

来年のサローネのポスター/予定では4月18-23日

そんな話を聞きながら、嬉しい半面でちょっと不安もよぎったのが正直なところ。。。なぜなら、だいぶ落ち着いてきたとはいえ、コロナはまだ完全に終息した訳ではないからです。

イタリアでは1ヶ月で感染者が急増中

嫌な予感は的中し、サローネ期間の前と後で、イタリアでの新規感染者の数が急激に増え始めています。イタリア国内でも、顕著に数が多いのが、ミラノがあるロンバルディア州なので、この国際的なイベントの影響が大きかったことは一目瞭然でしょう。このサローネの翌週には、メンズのファッションウィークがあったり、ミラノ以外でも街のあちこちで大きなイベントやコンサートがあったり、さらには学校が夏休みに入ったことから、州を跨ぐ移動や海外からの旅行者も増えていることが原因と考えられます。

参考までに、実際の状況を数値で比較してみたいと思います。

1週目(6/ 2 - 6/ 8)17,600人
2週目(6/ 9 - 6/15)23,900人
3週目(6/16 - 6/22) 38,700人
4週目(6/23 - 6/29) 59,900人
イタリア全国の一日当たりの新規感染者数(1週間の平均値を丸めたもの)

サローネが開催されていたのが2週目なのですが、その前の1週目は1万人を切る日が2日ほどあり、日によっては日本と変わらないか少ない日もあったほどです。ところが、徐々に増え始め、3週目の後半からは5万人台となり、28日には久しぶりに8万人台を突破、そして昨日は9万人台半ばを記録しました。

6/29現在のイタリアの累計感染者数は、1800万人を超えていて、人口6千万人で単純に計算すると約30%の人が感染している計算です。この中には、この2年間余りでニ回以上の感染をした人も含まれますが、感染しても無症状だったり、症状が出ても届け出ていない人もいるので、実際にはもっと多くの割合なのではないかと言われています。

比較対象として、日本全国の6/29現在の累計感染者数は、約900万人超なのでイタリアの半分ほどですが、日本の人口は倍の1億2千万人いるため、これを単純に計算すると約7.7%の人が感染したことになり、数字から受けるインパクトにはかなり違いが出てきます。

実は、私自身がこのサローネ期間中に感染をしてしまい、仕事が終わった翌日から寝込んでしまいました。そして、サローネのためにイタリアに来ていた日本人の方たちの中には、帰国前のPCR検査で陽性となってしまって、予定の飛行機で帰国できなかった方も少なくないと聞いています。つまり、マスクをしていても万全ではなかったということです。

実際に、私の周りでも親戚、友人・知人などを含めて、かなりの人が感染したという話を耳にしますし、最近のニュースで話題になった例をあげると、イタリアの保健相(日本でいう厚労大臣)のスペランツァ氏が感染したことや、昨年のウィンブルドンで準優勝し今回も注目と期待をされていたベレッティーニ選手が、今年のウィンブルドン期間中に陽性となって辞退しました。立場上、かなり気をつけている人でも、感染してしまうという一例でもあります。

イタリア国内の規制情報<アップデート>

このような状況を受けて、6月15日までだったマスク着用義務が、一部で9月30日まで延期されました。観光客に関係するものだけ抜粋します。

以下の交通機関の利用はFFP2マスク着用が義務付けられています。
 ・州間の船舶、フェリー
 ・州間の鉄道
 ・複数の州を結ぶ行程を継続的又は定期的に運航する旅客輸送バス
 ・運転手付きのレンタルバス
 ・地域又は州の公共交通機関

※航空機の利用に関しては、航空会社ごとに規定が違うようなので、ご利用の航空会社に確認されることをお勧めします。

ということで、イタリアへ来られる予定のある方は、引き続きこのタイプのマスクを用意する必要がありそうです。

FFPマスクとは?

以前の投稿でもご紹介しているFFPマスクとは、Filtering Face Pieceの略で、粉塵やエアゾルを濾過するための欧州基準の表示です。米国基準のN95、中国基準のKN95は、FFP2とほぼ同等の濾過性能を有し、日本の規格基準ではDS2が相当します。

日本ではこのタイプのマスクはあまり見かけないかも知れませんが、ネットでは以下のように手軽に販売されているので、イタリアへ渡航予定の方は事前に複数枚を購入しておかれることをお勧めします。

N95マスク同等 FFP2マスク(カラー:黒、グレー) 20枚セット 肌に優しいマスク 医療用 個別包装 高性能5層マスク カラーマスク オリンピック

ちなみに、イタリアでは、薬局やスーパーでもどこでも入手が可能です。

投稿者プロフィール

舞緒 ルイ
舞緒 ルイ
2011年よりイタリア・ミラノ在住。
渡航前は旅行代理店に勤務し、ヨーロッパ専門のツアーコンダクター
として、ヨーロッパ各地を周った経験から、2016年にルイジーロを
立ち上げて現在に至る。