サンシーロ・ミュージアム(博物館)とスタジアムツアー
前回はサンシーロ・スタジアムへの行き方についてレポートしましたが、旅行でミラノまで来る方の中には、旅行スケジュールと試合日程が残念ながら合わないという方もいらっしゃると思います。そういった場合でも、せめて少しでもスタジアムの雰囲気を味わいたいのであれば、スタジアムツアーに参加してみてはいかがでしょうか?ついでに博物館に収納されている歴代の栄光やお宝の数々を見ることもできます!
今回は、そんなイタリアサッカーファンの方のために、サンシーロ・ミュージアム(博物館)とスタジアム・ツアーについて詳細をご紹介したいと思います。
サンシーロ・スタジアムの概要
1926年に開場したサンシーロ・スタジアムは、国の指定記念物にもなっている約7万5千人が収容できるイタリア最大のサッカースタジアムです。ここでは、ワールドカップのような国際試合や欧州選手権(ユーロ)のようなヨーロッパ内の試合、そしてチャンピオンズリーグの決勝戦も過去4回も開催され、世界で最も美しいスタジアムのひとつに数えられています。また、サッカーのオフシーズン(主に6-7月)には、数々の世界的なアーティスト(マドンナ、ビヨンセ、ローリングストーンズetc.)のコンサートも開催されています。
ここは、1926年にACミラン(クラブ創設は1899年)の本拠地となり、1937年から1939年にかけて行われた改修工事でそれまでのグラウンド形式からスタジアムへと生まれ変わりました。そして、1948年からはFCインテル・ミラノ(クラブ創設は1908年)も本拠地として共同で使用するようになり、第二次世界大戦後の1954年に施された大規模な拡張工事で現在の多層構造をとる大規模なスタジアムとなりました。さらに、1987年からの3年間で現在の最上部にあたる3階席が新設され、その観客席最上部からは、スタジアムのピッチを見下ろすような形で、観客席の傾斜も急勾配です。ちなみに、バックスタンド側(オレンジゾーン)のみ3階席がなくて空洞になっているのは、お隣に競馬場があって支柱を立てられなかったからだそうです。
スタジアム開場の1926年から1980年までは、正式名称のスタディオ・コムナーレ・ディ・サン・シーロ<Stadio Comunale di San Siro>を略してサン・シーロ(スタジアムがある地区の名前)と呼ばれていました。しかし、1930年代のインテルの黄金期を牽引し、1950年代には監督もしていたジュゼッペ・メアッツァ氏が1980年に死去すると、スタジアムの所有者であったミラノ市は、彼へのオマージュとして、現在の正式名称であるスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ<Stadio Giuseppe Meazza>へと改名しました。メアッツァ氏は、イタリア代表としても1934年と1938年のワールドカップ連覇を果たしたアズーリの中心的選手だった事から、今もサッカー史上最高の選手の一人と評されるイタリアのレジェンド的な存在です。余談ですが、メアッツァ氏はACミランや他のクラブでもプレーしていたとはいえ、主にインテルでの活躍が長かったことや、監督としてのキャリアもインテルで終えていることから、ACミランのサポーターたち(ミラニスタ)はこの新名称の決定を快く思わなかったため、今でもサン・シーロという愛称を使用し続けているそうです。
サンシーロ・スタジアム内にある博物館
そんな歴史あるスタジアムの一角に、博物館がオープンしたのは1996年のことです。博物館の入口は、8番ゲート付近にあるので、そこを目指していくとチケット売場が見つかります。
以前は、博物館の見学にスタジアムツアーを追加するかどうかを選択できたのですが、現在はこれらがセットになっていて、博物館のみの見学という選択肢はなくなっています。スタジアムツアーは基本はイタリア語ですが、外国人向けに英語のツアーもあります。中に入って、まず博物館を見学した後に、ガイド/スタッフと一緒にスタジアム内を周ります。チケットを買ってから博物館内に入る際に、ツアーの言語や集合時間と場所などを指示されるでしょう。
内部の展示内容は変わることもあるようですが、主にミランとインテルで活躍した選手のユニフォームやシューズ、サインボール、歴代のトロフィーや写真など、他にもこれまで活躍したサッカーレジェンドたちの当時のユニフォームなど、どれもサッカーファンにとっては見応えのあるものばかりです。
ちなみに、ACミランのファンでしたら、ミランの本部がある〔CASAミラン〕内にも博物館があるので、時間が許すのであれば、両方を見学してはいかがでしょうか。※CASAミランについては、また改めてレポートする予定です。
スタジアムツアー
博物館を自由に見学した後に、グループに分かれてスタジアムの専属ガイド/スタッフと一緒にスタジアムの中を周ります。選手のインタビューが行われる細い通路を抜けると、各チームのロッカールームがあります。
もちろん、ミランとインテルのロッカールームはそれぞれ専用になっていて、それぞれのチームの個性(というよりオーナーの意向?)が反映された内装と仕様になっています。上のミランの椅子は革張りで、ここに座って写真撮影することもできます!
インテルの方はとってもシンプルで、ベンチのような作りです。この他にアウェーチームのロッカールームと審判員のロッカールーム(見学は不可)もあるようです。
ロッカールーム見学の後は、実際に選手がピッチにいくトンネルを通って、ピッチまで行くことができます(オフシーズンの芝の張り替え時やイベント/コンサートなどの設営がある時など、状況によってはピッチまで行けないこともあります)。
ご覧のようにとっても大きくて立派なスタジアムです!特に贔屓のチームがない人でも、サッカーにさほど詳しくない人でも、これを見るだけでも圧巻だと言っていたので、サッカー好きな方には絶対にお勧めです!!
もちろん、ピッチ内は自由に動き回ることはできませんが、試合観戦で観客席から見る景色とはまた違った角度でスタジアムを見られるのも価値があるでしょう。そのあとは観客席の一部の見学をして、出口へ向かう途中には、イタリア代表=アッズーリの歴代のユニフォームやボールの変遷が展示されているようです(以前はなかったのですが、2023年現在の情報でありました)。
そして、ツアーの最後にはオフィシャル・ショップもあり、そこで解散となるので、スタジアム見学の記念にゆっくりとショッピングも楽しめます♫
スタジアムツアー関連情報
ちなみに、普段であれば博物館とスタジアムツアーは予約なしでいつでも見学できますが、ヨーロッパの春のイースター休暇や夏休みなど、観光シーズンにはかなり混み合うこともあるでしょう。そいった場合には、オンラインから事前に日時指定のチケットを予約することも可能です。また、試合やイベント日程などと重なると、休館となることもあるので、事前に情報を入手してからスタジアムへ行かれることをお勧めします。
開館時間やチケット代などの詳しい情報に関しては、以下の公式サイト(英語)から確認できます。
San Siro Stadium Museum & Tour
また、言葉の問題や地理的な不安から、スタジアムツアーの通訳アテンドをご希望の場合には、ルイジーロまでお気軽にお問い合わせ下さい!
もし、ミラノ滞在に余裕があるのでしたら、できれば実際に試合をみる前か、試合をみた後にサン シーロ博物館+スタジアム見学ツアーに参加されると、旅の想い出もより印象的になることでしょう。ミランもインテルも練習場はミラノ郊外にあるので、ここサンシーロで日頃の練習はしていませんが、イタリアのサッカー熱を十分に感じていただけること間違いなしです。
参考までに、2026年の冬季五輪(オリンピック)は、ミラノとコルティナ市の共同開催なのですが、開会式はここミラノのサンシーロ・スタジアムで予定されています。実は以前より、ミラノ市と両クラブは新スタジアムの建設計画を検討しているのですが、色々な事情でなかなか進んでいません。また、ミラノ市長は「新スタジアムの完成の時期にかかわらず、輝かしい歴史に敬意を表して現在の競技場で開会式を行う」と述べているそうです。
サンシーロスタジアムへのアクセスについてはコチラに詳細を書いています!
ルイジーロHP/お知らせ/レポート/ミラノ サンシーロ・スタジアムへの行き方
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「現地での生観戦はハードルが高いと思っていた。」とか「どうやったら事前にチケットの手配ができるの?」という声をお客様から聴くこともあります。なんとか日程を調整して、スタジアムでの観戦ができないものかな。。。
もちらん、ルイジーロでも旅行のプランニングから各種チケットの手配を承っているので、今年イタリア/ヨーロッパ方面へ旅行を検討されている方は、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
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投稿者プロフィール
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2011年よりイタリア・ミラノ在住。
渡航前は旅行代理店に勤務し、ヨーロッパ専門のツアーコンダクター
として、ヨーロッパ各地を周った経験から、2016年にルイジーロを
立ち上げて現在に至る。
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