• 舞緒ルイ

熱狂したイタリアとその後の懸念

7月11日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われた『欧州サッカー選手権=EURO(ユーロ)2020』の決勝戦は、1-1の引き分けで延長戦に突入し、合わせて120分の死闘でも決着がつかずPK戦にもつれ込み、その結果3-2でイタリアが地元イングランドを降し、53年ぶり2回目ヨーロッパ・チャンピオン🏆となりました!!


イタリアが国民的スポーツであるサッカーでメジャーなタイトルを取ったのは、2006年のワールドカップ(ドイツ大会)以来15年ぶりなのですが、その後のイタリア代表は、ワールドカップで2大会続けてグループリーグで敗退しただけでなく、2018年のロシア大会に向けては、なんと”予選敗退”(2017年11月)という大失態で低迷していたのです。


この低迷していたイタリア代表を甦らせたのが、2018年5月に代表監督に就任したロベルト・マンチーニ氏です。以来、今回の決勝戦まで34試合無敗という記録を更新中です!

チームは、今回成し遂げた”偉業”で、<Rinascimento Azzurro>(リナッシメント・アズッロ=イタリア代表の再生)と表現され、その功績を称えられています。


<各都市でのフィーバーぶり>

イタリア国内は、6月中旬からロックダウンもほぼ解除され、初夏の過ごしやすい気候なので、決勝戦はサッカーファン(であってもなくても)皆で集って応援しようという気運となり・・・首都のローマでは、広場に大型スクリーンを設置したパブリック・ビューイングが行われたり、各地のスポーツバーなども大賑わいの様子でした。

問題となったのは、優勝が決まった後のお祭り騒ぎぶり。。。試合が終了したのは、イタリア時間で既に深夜近く...日曜日の夜でも夏休み中の学生たちには関係なく、その興奮冷めやらぬ熱狂ぶりは、飲酒も加わってヒートアップしていったようです。


この前の準決勝の時でさえ、歌いながら騒いだり叫んだりする声や車やバイクのクラクションの音が街に響き渡っていたので、それが”優勝”ともなれば、それ以上のフィーバーぶりになることは容易に想像ができました💦


では、実際の各都市のイメージ写真をネットニュースの画像で確認してみましょう。


これらの写真は、優勝決定後のローマ、ナポリ、ミラノ、ジェノヴァでの様子ですが、若者たちの歓喜に湧く姿や、その群衆の中で発煙筒を焚いたりと、画像からもその熱狂度が伝わってきますよね。

屋外でのマスク着用義務も撤廃されているので、写真でみてもマスクをしている人はほぼ見られません。ほんの一ヶ月前まで”夜間外出禁止令”が出ていたことを考えると、マスク無しで夜の街を練り歩ける解放感は、彼らにとってはことさら特別なものに感じられたことでしょう。。。


なおミラノでは、やはり大聖堂広場の人混みが際立っていたようですが、市の南のナヴィリオ地区では、トラム(路面電車)の屋根の上に大勢の若者が登っている様子(3段目右側/写真6枚目)が写っていて、これにはさすがに驚きました!!実際、ミラノではこの夜、救急車で15人が運ばれ、そのうち3人は重体だったそうです💦



<ローマでの凱旋パレード>

優勝の翌日にロンドンからローマに凱旋帰国したイタリア代表(アズッリ)ですが、朝早くから空港で待って出迎えるファンもいたようなので、もしかしたら夜通しでお祝いしていたのかも知れません(苦笑)


その日の午後アズッリは、まず大統領官邸であるクィリナーレ宮殿に赴いて、マッタレッラ大統領に改めて優勝の報告をしました。

大統領は、決勝戦を観に現地まで応援に行っていたのですが、チャーター機の利用とはいえ、片道3時間近い飛行距離を移動し、スタジアムに3時間前後(決勝戦前セレモニー+試合90分+ハーフタイム15分+延長30分+PK戦+表彰式)滞在し、しかも日帰りという強行スケジュールです。今月で80歳を迎えるとは思えないスタミナです!


大統領官邸の庭園でマッタレッラ大統領と記念写真を撮るアズッリとベレッティーニ選手

ここには、奇しくも同じ日に同じロンドンの地で決勝戦を戦ったイタリア人テニスプレーヤーのマッテオ・ベレッティーニ選手も一緒に招待されていました。ベレッティーニ選手は、残念ながら世界ランキング1位のジョコヴィッチ選手に負けて準優勝となったのですが、それでも天下のウィンブルドンで決勝まで進んだ初のイタリア人プレーヤーなのですから、大したものです!


宮殿の庭園で行われた祝勝会では、国家演奏に続き、2つの決勝戦のダイジェスト映像が流れ、選手や監督のスピーチと最後に大統領の祝辞が述べられ、ベレッティーニ選手からはラケット、アズッリからは大統領の名前入りのシャツに選手たちのサインが入ったものがマッタレッラ大統領に贈られました。


上の写真では、中央のマッタレッラ大統領の右側に、ウィンブルドン選手権の準優勝プレートを携えるベレッティーニ選手、左側に欧州選手権の優勝トロフィーを抱えるアズッリのキャプテン=ジョルジョ・キッエリーニ選手が、そして更に左手にマンチーニ監督が写っています。ちなみに、アズッリがお揃いで着ているオフィシャル・スーツは『アルマーニ製』です。


続いて彼らが向かったのは、首相官邸のキージ宮殿です。この時の移動をテレビのライブ中継で見ていたのですが、アズッリを一目見ようと大勢のファンが集まって来ていて、バスが通る沿道も大変な人出でした。


首相官邸の中庭でドラギ首相と記念撮影をするアズッリとオリンピックに出場するアスリートたち

代表チームとベレッティーニ選手の到着を待っていたドラギ首相は、バスから降りた選手一人ひとりを入口で出迎えて言葉をかけていました。


ここでは、エストニアのタリンで7月8~11日まで開催されていた『ヨーロッパ陸上競技U-23選手権』で活躍したメダリスト5人も招待されていました。この大会でイタリアは、6つの金、5つの銀、2つの銅メダルを獲得して、参加国の中で1位となったようです。

上の写真の中で、ブルーのジャージ姿の選手たちがそうですが、おそらく彼らはオリンピック代表にも選ばれているのでしょう。


ドラギ首相は、スポーツ界で大活躍を果たし、イタリア国民に感動と勇気を与えたアスリートの彼らの活躍を称えて祝福しました。そして、スピーチの最後に、間もなく東京で開催されるオリンピックのことにも触れ、「昨日体験したような魔法の夜をもう一度体験したい」と期待を寄せました。

最後に、政府からの記念のプレートが一人ひとりに贈られて、記念写真を撮影して閉会しました。


アズッリがキージ宮殿から出てくると、用意されていたのは『欧州チャンピオン』と書かれた特製の2階建てオープンバスです。これに乗って『優勝パレード』でローマの街を行進です。

ご覧のように、密集した大勢のファンに囲まれてバスはなかなか進めません。。。

2階建てオープンバスでローマ市内を凱旋するアズッリ

優勝パレードの模様をダイジェストでまとめた動画がYouTube上にアップされていたので、こちらに貼り付けておきますね(約3分)。




<イタリアの感染状況の推移>

最後に、イタリアのその後の感染状況の推移についてもお伝えします。(この記事は執筆時7月17日現在の情報を基に書いています)


今回は、過去2週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりの平均数となります。 


   * 7/ 2- 7/ 8 感染者数: 902 死者数: 21 回復者数: 2,009

   * 7/ 9- 7/15 感染者数: 1,602 死者数: 16 回復者数: 1,668


7月11日には、イタリア全国で死者数が7人と10ヶ月ぶりに一桁だったので、死者数の平均値は今のところ減少傾向のままなのですが、せっかく順調に減っていた感染者数も、この3日間は2,000人を超え始め、そして先程のニュースで本日(17日)の数字が発表されましたが、やはり3,000人を超えてきました。それでも、昨日イギリスが5万人を超えたのと比べれば、少なく感じてしまうのは気休めでしょうか?(苦笑)


今イタリアで心配されているのは、上記レポートのように、このサッカーの祝賀ムードで街に繰り出して密集し大騒ぎしていたのは、主に10~30代の若者であり、その大半がまだワクチン接種が済んでいないということです。

同じことは、イギリスの急激な感染再拡大にいついても言えるので、イタリアの数週間後の状況がイギリスのようになるのでは?という懸念が、人々の頭をよぎるのです。。。


参考までに、下の円グラフがイタリアの年代別のワクチン接種状況を表わしたものです。

イタリア全国の年代別ワクチン接種率(7/15現在)

関連して、世界のワクチン接種の状況(7/16現在)を見ていて気付いたことがあります。

ワクチンを1回以上接種した人をその国の人口で占める割合でみると、カナダの69.9%が1位で、英国が68%で2位、3位スペイン(62.1%)に次いで、イタリアは60%で4位でした。そして、日本は32.4%で14位となっていました。

ところが、これ(1回以上接種者)を累計数でみると、1位が中国(人口に占める割合は43.2%)の6億2,200万人と桁違いで、2位がインド(同22.9%)の約3億1,612万回、3位が米国(同55.4%)の約1億8,514万回、4位がブラジル(同43%)の約9,134万回、5位がドイツ(同59.1%で人口別でも5位)の約4,948万回、6位が英国の約4,616万回、次いで7位に日本が約4,095万回につけているのです!そして、イタリアは約3,626万回で12番目でした。

<出展:時事ドットコムより>


当初、ワクチン接種に関しては世界で出遅れていた日本も、国を挙げてスピードアップした結果、いつの間にか接種回数ではイタリアを追い抜いていたのです!

つまり、最初からその気になっていれば、オリンピックが始まる前には、かなりの接種率になっていたはずですから、現在の感染状況もまったく違うものになっていて、無観客にしなくても済んだのではないかと思うと、実に残念でなりません。。。



注:写真はすべてネットニュースより拝借しています。


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