• 舞緒ルイ

イタリアの再出発!

最終更新: 8月6日

セルジォ・マッタレッラ大統領は、6月2日の共和国記念日の前日に、ローマにある大統領官邸の庭園で行なわれた「コロナウィルスの犠牲者に向けた追悼コンサート」の冒頭で演説を行いました。


今回のコロナ禍において、行政のリーダーとして前面に出ていたコンテ首相に比べると、映像的な露出は少なめの大統領でしたが、国家元首として、国の象徴として、こういった国家的な行事の際には、やはり大統領の存在が光ります。


今日は、そんなマッタレッラ大統領にスポットを当ててお届けしたいと思います。


【共和国記念日に寄せてスピーチをするマッタレッラ大統領】

日独伊同盟が敗戦した第二次世界大戦の終戦から75年~その翌年6月に行われた国民投票で王政が廃止され、共和制となったイタリアでは、国王に代わって国家元首として大統領が誕生しました。その第12代のイタリア共和国大統領が、今年で79歳となる、まさに戦中生まれのマッタレッラ氏です。大統領の任期は7年、2015年に就任したので、2年後の任期満了時には81歳を迎えられますが、スピーチで話す姿も歩く姿も、背筋もピンと伸びていて、年齢よりお若い印象を受けます。


この3ヶ月の間に、全国で3万3千人以上の犠牲者を出したイタリア。そのほとんどの方が最期の別れもできずに、身近な大切な人を失う深い悲しみを負いました。そんな犠牲者とその家族への追悼の意を表しながら、スピーチの最初に、今年の共和国記念日は、不安感と希望の入り混じる特別な雰囲気の中で迎えることになると述べました。


大統領は、コロナウィルスによる緊急事態からの国の経済的および社会的回復と、戦後の復興との間に重要な類似点を描き、歴史上のこれらの困難な時期の両方で浮上した国家の連帯感を強調されました。つまり、この困難な時期にこそ、世代、地域、社会的状況、政治的思想を超え、一つの運命共同体として、国家の発展と成長に国民一人一人が努力を深めることが大切だと述べられました。


もちろん、自らの健康を危険に晒して今も対応している医療従事者をはじめ、ロックダウン中に社会の活動が停止している間も休みなく働いてくれていたエッセンシャル・ワーカーや、休校中にオンラインで授業を続けていた先生方、不足していた医療器具の供給のために自らの事業と異なる生産に協力してくれた起業家、警察や軍関連の従事者、そしてボランティアの人たちへの感謝の意も表しました。


さらに、国境を越えた連帯感の重要性について触れ、EU諸国間の連帯こそが、我々の世代が直面した最大の危機に立ち向かうことを可能にする唯一の道であること、それは、より経済的に強い国であっても、コロナの影響が比較的小さい国であっても同じことで、EUの存在なくしてヨーロッパの各国に将来はないと強調しました。


最後に、今年の共和国記念日は、この劇的な出来事の始まりの場所である(ロンバルディア州の)コドーニョに行き、すべての犠牲者に敬意を払い、そして、この極度な状況の中で最前線で勇気と自己犠牲をもってコロナウィルスと闘かってくれたすべての人の勇気を称えてくることを述べました。

そして、この緊急事態の中で頑張ってくれた全ての国民に感謝し、自分の国を誇りに思っていると締め括りました。



<共和国記念日の当日>

例年であれば、ローマのヴェネツィア広場からコロッセオに続くフォリ・インペリアリ通りに観覧席が設けられて、盛大な軍事パレードが開催されるのですが、今年はウィルス感染拡大防止のためにパレードは中止され、式典のみが行われました。


会場は、ヴェネツィア広場に面して建つ白い巨大なモニュメント「ヴィットリオ・エマヌエレ2世の記念堂」(イタリア初代国王の名前)で、ここには無名戦士の墓があることから「祖国の祭壇」とも呼ばれています。1925年完成と、周囲に古代遺跡だらけのローマでは新しい建造物で、近代ローマのシンボルとなっているところです。


式典自体は短くて、大統領が到着後に国歌演奏と共に国旗が掲揚され、大統領が祭壇に月桂樹のリースを手向けるタイミングで、空軍のアクロバット飛行隊(フレッチェ・トリコローリ)が上空を通過する...といったものです。


この式典の模様を紹介した動画を見つけたので、ぜひご覧ください。3分半の中で、ハイライトのアクロバット飛行の部分は2:25-3:00のところです!



さて、マッタレッラ大統領は、この式典の直後そのまま空港に移動し、前日の演説で触れた通り、コドーニョ(2月21日にイタリア人のコロナウィルス感染者が最初に出た町)へ向かいました。

コドーニョは、ロンバルディア州のローディ県にある人口1万6千人の町~そこへ大統領がやって来る!ということで、写真の通りの大歓迎ぶりです。(密です…苦笑)


【歓迎に応える大統領(左)/大統領を歓迎する地元の人たち(右)】


コドーニョの市庁舎で行なわれた式典には、ロンバルディア州知事をはじめ、ローディ県知事、コドーニョ市長、その他の周辺の市長たちも参列しました。今回イタリア全土がロックダウンになる前に、最初にレッドゾーンに指定され、町ごと封鎖された地域の関係者たちです。


大統領はスピーチの中で、「イタリアの再出発は、ここコドーニョから始めたい!」と力強く宣言しました。共和国記念日の当日に、大統領自らがコドーニョを訪れることにこそ大きな意味があった訳です。

その後、コドーニョの墓地を訪れ、大統領参拝の記念碑に献花されました。


【コドーニョ墓地に設置された記念碑に献花する大統領】


とんぼ返りでローマに戻った大統領は、午後にはローマの病院を視察に行かれたそうです。


以前こちらのブログでも記事にしたローマ教皇もそうですが、マッタレッラ大統領も日本でいうところの後期高齢者。。。日々こうして精力的に国のために働いていらして、頭が下がります。

そして、(どこかの大国の大統領と違って)品位のある立派なお人柄が滲み出ています。


もちろん、イタリアの政治家の中にも品位のない酷い人や、なんでこんな人が当選したんだろうと思うような馬鹿げた発言をする人もいます。与野党の攻防とか醜い言い争いなんかも日本同様に展開されています。


それでも、「俺たちはお前らと違って民度が高いから、コロナの死亡率が低いのだ」と平気で言ってのける政治家(しかも首相経験者)よりは数十倍もまともです。

被害の大きかったイタリアの人たちが聞いたら何て思うだろう...と、同じ日本人として、申し訳ない気持ちと恥ずかしさでいっぱいになりました。



<その後のイタリアの状況の推移>

前回に引き続きイタリアの状況レポートです。(この記事は執筆時6月10日の現地12時現在の情報を基に書いています)


過去2週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見ています。(※比較しやすいように四捨五入して数値を丸めています)

  

  *5/22-5/28 感染者数: 530 死者数: 90 回復者数:2,290

  *5/29-6/ 4 感染者数: 330 死者数: 80 回復者数:1,610

今のところ、減少傾向は続いたままです。なんとかこのまま、三桁が二桁、二桁が一桁と減り続けていってくれることを願うばかりです。



注:上記掲載の写真と動画はネットニュースよりお借りしたものです。



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